「おい、英語の宿題貸せ。やってあんだろ?」
「ぇ、あるけど・・・また忘れたの・・・?」
「うるせぇな、一々質問すんなよ」
「ご、ごめん・・・」
「あ、てか写しといてくんね?俺購買行きてーんだわ」
晋助はガタリと音を立てて立ち上がり、
私の机の上にノートを放った
「駄目だよ、そのくらい自分でやりなよ」
「うるせぇなァ、お前は俺の言う事聞いてりゃいいんだよ」
私の目も見ないでそういうと、晋助はポケットに財布を突っ込み廊下に出てしまった
「あーしんすけ〜!これから購買〜?あたしたちも行くから一緒いこ〜!」
それと同時に、甲高い声が廊下から聞こえた
甘ったるい猫なで声で、どう考えても媚を売ってる
「あぁ別にいいぜ。その代わりなんか奢れ」
「えーひどーい!晋助お金あるじゃん!」
「冗談だバーカ。ンな事より早く行こうぜ、焼きそばパンなくなる」
「あは、晋助かわいー!」
女の子はニコニコ笑いながら自然に高杉と腕を組んだ
私は、あんな事したことない
手だって繋いだ事ない
あんなに優しく話しかけてもらった事もない
あんな晋助の笑った顔・・・・・・向けてもらった事なんてない
ぎゅっと、手に力が入るのが分かった
私は自分の机に放られたノートを晋助の机の上に放り返した
ノートは机にのったもののそのまま滑って床に落下した
でもそんなの気にしない
私は自分の手作りのお弁当を持って教室を出た
季節は冬で手も頬も寒いのに、
目だけが熱くなって仕方が無かった
私の知らない
彼と彼
(私は、晋助にとって彼女じゃなかったのだろうか)
(パシリ?奴隷?下僕?)
(あの時言ってくれた言葉は嘘だったの?)
(なんかの罰ゲームだったの?)
(・・・・・・もうアンタとなんてやってらんない)